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「餅は餅屋」と「医者の不養生」

大きくなったら何になるの?

「大きくなったら何になるの?」は、大人と小さな子どもの間で行われる定番の問答です。子どもは、そこからしばらくの間は「勉強」や「受験」という課題を与えられるため、それに集中しておけばよいのですが、高校生や大学生になるタイミングでもう一度「大きくなったら何になるの?」を問われることになります。この時点で就きたい職業がうまくイメージできていないと、進学先選びや就職先選びで悩むことになります。一方で、就きたい職業が具体的であっても、「この仕事、自分でもできるのかしら…」と不安になることでしょう。事実、学校を卒業したばかりですぐに一線級の活躍ができるような仕事はそれほど多くありません。知識や経験を増やしていくことで、徐々に仕事を身に着けていくのです。

餅は餅屋

働き始めると、知識や経験の詰まった「プロの仕事」に感動する場面がたくさんあります。先輩や同業者など、自分と同じ仕事に取り組んでいる人を見てもそう感じますし、他の仕事をしている人であればなおさら、その仕事の難しさを知り、驚くことがあるはずです。小さい会社で働いていたり、フリーランスで仕事をしていたりすると、自分でいろいろなことをやらなければいけない状況になりますが、ためしにすこし取り組んでみて「これは自分では無理だ」と思い至り、結局はプロにお願いする、というようなことはたくさんあります。自分でやってみて「そこそこできたかな」と思うようなことでも、プロに依頼するとかかる時間も出来上がりも全く異なるのです。まさに「餅は餅屋」、ということです。

医者の不養生

しかし、「餅は餅屋」を実感できない場面もあります。例えば、「看板屋さんの看板」などです。看板屋さんは看板を作るのが得意なので、自社の看板も作るのですが、予算がかけられないなどいろいろ理由はあると思いますが、イマイチな看板を掲げている看板屋さんが多いように思うのです。同じように、ホームページ制作会社のホームページが更新されていなかったり、ダイエット食品の営業さんが太っていたり、先生の子どもが不登校になってしまったりなど、「その仕事のプロであるにもかかわらず、自分のことがきちんとできていない」例には枚挙に暇がありません。まさに「医者の不養生」なのですが、この「医者の不養生」には3種類あることに気が付きました。

3種類の「医者の不養生」

1つ目は、必要がない、忙しいなどの「優先順位が低い」場合です。先程の看板屋さんを例にすると、自社の看板をきちんとしなくても仕事には困っていないし、自社の看板に時間をかけるくらいなら溜まっている仕事を片付けたほうが良い、など、本業が忙しいなどで優先順位が低くなってしまっている状況です。

2つ目は、「気がついていない」場合です。看板屋さんの看板がイマイチだと、そこに看板制作を頼もうとは思わないですし、「電話営業しなくてもお客さんがどんどん集まる仕組みがあるんです!」という電話営業をしてくる広告会社は信頼することができません。その仕事で期待される結果について、たとえ自社のことであっても思ったよりも見られているのだ、ということに気がついていないのは問題かもしれません。

3つ目は、「そもそもできない」場合です。これは、ナレッジワーカーが陥りやすい罠なのですが、人に教えたり指示したり、研究したりはできるけれど、自分や自分の組織ではそれがうまくできているとは限らない、という場合です。経営コンサルタント会社が経営に失敗したり、法律や犯罪の研究者が軽犯罪で捕まったりなどがそれにあたります。客観的に自分を評価したときに、ここに属している社会人はおもったよりも多いのではないでしょうか。

「机上の空論」から抜け出すために

「医者の不養生」が絶対的に悪いわけではありませんが、「何故自分はやっていないのですか?」と訊かれたときに「忙しいから」とか「必要ないから」というようなきちんとした回答が出せなかったり、それを笑い話にできないのであれば、自分のことにきちんと向き合うタイミングかも知れません。「自分が考えた最高の方法」を自分が実践することで、机上の空論から抜け出しましょう。

記事タイトル「餅は餅屋」と「医者の不養生」
掲載日2024年8月23日
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