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考える習慣

優秀さと考える力

東南アジア、南アジア出身の留学生に授業をすることがあるのですが、そこで一番難しいのは「自分で考えてもらう」ことです。日本語能力や筆記試験の内容をみる限り、彼らは非常に優秀な学生なのですが、簡単なことであっても「自分で考える」ことがとても苦手なように見受けられます。例えば、「あなたが新しくお店を開くとしたら、そこでどんな商品を売りたいですか?」については答えられるのですが、もう一歩踏み込んで「ではその商品をたくさん売るためには、どんな方法があるでしょうか?」となると、とたんに口をつぐんでしまいます。どうやら「優秀であること」と「考える力があること」とは違う能力のようです。

学生時代の優秀さ

学生時代の優秀さは、筆記試験などで評価することのできる「答えのある問題」を解くための優秀さです。暗記をしたり、似たような問題を繰り返し解くことで身につける事ができる力なので、真面目な学生であればあるほど「優秀」として評価されていきます。一方で、「答えのない問題」については、別のトレーニングをしなければそれに立ち向かうことができません。前述の留学生たちは、学校のカリキュラムの中にそのような課程が含まれていないようで、答え方や取り組み方がわからないようです。

日本の学生の状況

日本では、2010年代以降にいわゆる「アクティブラーニング」といわれる、主体的で能動的な学びに注目があつまり、学校教育でも取り入れられるようになりました。これを契機に、徐々に「自分で考える」ことへの抵抗感は小さくなりつつあるようですが、やはり学校や先生の決めた範囲で考えていただけでは十分とは言えず、社会人になってから要求されることとのギャップに面食らう新社会人も多いようです。

自分で考える習慣

「考える習慣」は、考えることによってしか身につきません。加えて、考えるためのベースである知識がなければ考えることさえできませんので、まずは「答えのある問題」を解くための優秀さを身につける必要もあります。一番望ましいのは、「答えのある問題」に取り組んでいく中で、「答えのない問題」に立ち向かう力を身に着けていくことです。安直な受験テクニックや点数アップ法を身に着けて「勉強ができるつもり」になっていると、この過程を経ることができません。時間はかかりますが、「答えのある問題」だけを解いていれば良い学生の間に、「答えのない問題」を解くための「考える習慣」を身につけましょう。

記事タイトル考える習慣
掲載日2024年11月30日
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