ペルソナとプロンプト

「女神転生」じゃないほう
ビジネスやマーケティングにおける「ペルソナ」とは、商品・サービスのターゲットとなる顧客像の具体的なイメージです。商品開発や販促する際にペルソナを設定するわけですが、生成AIに対するプロンプト(命令・指示文)についても、「ペルソナ設定が重要だ」という文言を目にする機会がありました。
私たちがパイロット(主導権を持っている)
現在、さまざまな生成AIのサービスが提供されていて、その中にマイクロソフトの「Copilot(コパイロット)」というものがあります。AI がコパイ(副操縦士)を名乗っていて、使う私たち人間がパイロット。だからメインの操縦士である人間が、ペルソナ設定くらい出来なければいけないのかも知れません。ところがペルソナ設定のような作業も、AIはサクッとこなしてくれます。試しに「日本初上陸の海外コスメブランド(本国での広告塔は、セレーナ・ゴメス)」のペルソナ設定をお願いしてみたら、ちゃんと港区女子みたいな顧客像を紹介してくれました。
王道は AIが出してくれるけど
とは言え、実績のある広告代理店やコンサルで、AIの返してきたペルソナ設定をそのまま提示したら、先輩や上司に「もうちょっと頑張れ」と言われそうです。マーケティングのプロはデータを持っていますし、データ以外の部分(経験など)も結果に大きく関係するのではないでしょうか。案外、古い刑事ドラマのような泥臭い情報収集が役立つ場面も多そうです。
感覚を明確に
「典型」や「王道」については、AIが自前の検索能力によって驚くほど短時間でまとめてくれます。しかし、人間の持つ肌感覚のようなものも軽視することはできません。「感覚」とすると曖昧に聞こえますが、それは結局のところ経験によるデータであり言語化されたものです。会社員をしていた頃に、私の上司がある地域の顧客層について「この辺は軽自動車ばっかりやな」とコメントすると、マーケティング部門の先輩が「軽が多いですが、1人1台所有しているのが標準のエリアです」と返していました。たとえ軽自動車でも、一家に3台あれば、一家に1台アルファードを所有している世帯と比べて、購買力にそれほど差はつかないものです。個々の車がある分、消費行動を起こしやすかったり、可処分所得での格差は少なかったりするからです。
要件定義
ペルソナ設定は基本の「き」なので、必須項目としてそれを含んだ上で、目的や要望をどこまで把握できるかが、実際には評価や仕事として継続できるかに影響がありそうです。ITの分野でも初学者にとっては「そんなこと、できないといけないの?」となりやすい、人間から情報や要望を引き出して、そこから形にする仕事があります。それをこなしているプロフェッショナルたちは「AIに仕事を奪われる」という不安をあまり抱いていないようです。むしろ、生成AIによって人件費を削減できたり、ハラスメントの心配をせずに作業をオファーできたりと、願ったり叶ったりな様子です。まとめると「人間に強い(向き合える、分かっている)」人が今後一層、生き残れる時代なのかも知れません。理系エキスパートの人が、意外にも哲学を専攻して修士や博士課程に進むのって「そういうことだったね」と感じている今日この頃です。
記事タイトル | ペルソナとプロンプト |
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掲載日 | 2025年6月14日 |
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