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人工知能座談会

思考の入り口「エントランス」

先日、かねてからお世話になっているカルチャーセンター「エントランス」の、「人工知能座談会」という講座に参加させていただきました。参加といってもオーディエンスとして「ほほぅ」「なるほどー」と感心しながら聴いていただけなのですが、講師の方が知識レベルや情報量を絶妙に調整して下さったので、小規模なのが「もったいない」と思える、とても良い講座でした。

発展途上にある現在地の共有

人工知能、いわゆる AIは急速な進化を遂げていて、矢継ぎ早に最新の情報が出てきます。そのため、今回の講座は最先端を把握するというより、職業的実践者の方々が今どんな風に活用しているのか、また AIを活用できている人たちは、どのような作業を自動化(とまでは、いかなくても効率化)しているのか、具体例を示しながら分かりやすく解説していただきました。

身体性を加える

仕事がら使いこなしておられる方々からの情報共有のうち、個人的に強く興味を惹かれたのは、AIを活用してかなり作業を効率化しつつも、要所要所の判断は職人的感覚で行われているという点でした。これは講師の方が、使用者自らが生成 AIのパーソナライズ設定をすることを薦められていたのと、とても似ています。

無自覚に閉じられた世界

インターネット検索で出てくる結果は、私たちが知らない間に AIによってパーソナライズされています。スマホやパソコンを開いて目にするインターネットのニュースなども、利用者個人の関心事や好みを反映した情報が提示されている、といっても過言ではないのが現状です。好きなものだけ見えるのは喜ばしいことですが、一方で、好みでも興味もないけれど、本当は自分にかなり重要であるはずのニュースや情報に辿り着けないという落とし穴もある訳です。

進化は拒絶できない

AIにできることは今後もどんどん増えていきますし、それを止めることは私たち人間には十中八九できません。これは SF小説や映画のように、AIが暴走するというよりも(もちろん、そのように見えることもあるでしょうが)歴史を振り返ってみると、私たちは「できちゃう」ことは「できなかった」頃に戻せない、戻したくない性分なのだと思います。性(さが)のような曖昧なものを取っ払っても、逆立ちしたって、現実的には時間は不可逆ですし。It has happened.

制限する/否定する/しばりを設ける

そこで、情報や機能が過多な世界で何をしていけばよいのかを考えたとき、「できるけどやらない」を決める、というのが答えの一つに挙げられます。その具体例が、生成 AIを使用する際に自身でパーソナライズを設定する、なのです。例えば「私の言ったことに何でも賛同しないで」とか「ニュースは信頼性の高いソースからだけ提示して」などです。また、ゴールに辿りくつための過程において、このポイントでは AIを使う、あるいは「使わない」という判断(ときには否定する)選択肢を持つことも一例といえるでしょう。

設定する/指定する

ゴールや完成形の設定が、あやふやだと「何でもできる」という多機能の渦に飲み込まれてしまいます。今回、AIを使いこなしている複数の方のお話を聞けて、目的のために「どれ」を使うか「どこ」で使うかを選択し、使う際に制限をかけて方向性を指定しているという共通点を見出せました。私自身はできないながらに大きなヒントを頂けたこと、また分からないながらに自分の中にあったものとの答え合わせができたことも含めて、改めて有意義な「座談会」でした。もっとシンプルに言うと、すごく面白かったです。

記事タイトル人工知能座談会
掲載日2025年12月13日
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