読込中

理解の速さと正確さ

理解の速い人

学校の授業で学生に教えたり、仕事でクライアントに説明をしたりするときに、「理解が速くて助かるな」と思うことがあります。これは、聞き手の理解度が高いときに感じるのですが、同じ内容を教えたり説明したりしていると、同じところでひっかかったり、間違った理解をされてしまう事があります。これはこちらの説明が不十分であったり下手だったりすることが原因である場合も多いのですが、どうやらそれだけではないことがわかりました。

置き換えて理解する

新しい物事を学ぶ時、人は既知の情報のなかから似た物事を探し、それと比較したり共通点を探したりすることで、理解しようとします。多くの場合、これはうまく機能して、前述のような「理解が速い人」になるのですが、これに慣れすぎると理解のベースにした物事に引っ張られて、不正確な理解をしてしまうことがあるのです。

例を上げるのがなかなか難しいのですが、たとえばプログラミング言語で、命令文の終わりにセミコロンを書くことに慣れている人が、セミコロンを省略できる他の言語でもセミコロンを書いてしまう現象などがそれにあたるでしょうか。他にも、物語文を読むのが好きな人が、技術書を読むにあたって、冒頭から一字一句漏らさずに読もうとして、必要以上に時間がかかってしまうこと、などもそれにあたるかもしれません。多くの場合、周囲でメンター的役割をしている人が「これはそうではないですよ」と指摘することで、理解のズレが修正され、精度が高まっていくのです。

置き換える元の情報が大切

難しいのは、置き換えて理解するための元の情報の質と量をどう担保するかです。上に挙げたような、置き換えて理解することが苦手な人の多くは、「元の情報が少ない」場合と、「元の情報が正確ではない」場合とに分けることができます。そもそも情報が少ない状態では、新しい物事を学ぶのにさらに時間がかかってしまいますし、元の情報が間違っていると、それに引っ張られて新しい物事の理解も間違ってしまうのです。

情報のインプットとアウトプット

人はだれでも、自分で見聞きするなどして手に入れた情報には価値があると錯覚しますし、人から指摘されない限りは自分が理解している情報が間違っていることには気づかないものです。置き換える元の情報の正確さを上げるためには、たくさんの情報を獲得するだけでなく、いろいろな方法や視点で情報をインプットするのは大切であり、それをアウトプットすることでその正確さを確認し続けることが大切なのです。

記事タイトル理解の速さと正確さ
掲載日2024年6月29日
カテゴリー
表示数 219views