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スポーツ&文化の秋

どすこいどすこい

2023年秋に書いたブログでも「守破離」と題して、その頃 Netflixオリジナルのドラマとして注目されていた「サンクチュアリ-聖域-」にからめて、近年のリアルな大相撲も、大変見どころが多いことを語りました。伝統的な大相撲そのものが持つ魅力に加えて、近年は横綱不在の場所が多いため(横綱が一人しかおらず、休場も多いため)、結果的に多くの力士に優勝のチャンスが巡ってくる、まさに下克上の盛り上がりを見せているからです。

充実のファンサービスイベント

そんなこんなで念願だった大相撲の観戦を、先日初めて体験してきました。ただし、年に6回開催されている「本場所」とは別の、「巡業」と呼ばれるエンタメ性の強いイベントです。そのため取り組み(対戦)については、真剣勝負の「本場所」とは違い、力の抜けたお遊び的&プロレス的なものでした。とは言え、本場所のテレビ中継では見られない力士たちのリラックスした表情を目にできるなど、お楽しみポイントは満載でした。期待していた、体の大きな力士同士がぶつかり合う迫力のようなものは、取り組み前に公開していた「稽古」の場面で存分に味わうことができました。

生(なま)だから五感で感じられる

これまでに聞いたことはあったものの、お相撲さんが歩いていると本当に良い香りがするので驚きました。髷(まげ)を結うために頭につけている、鬢付け油(びんつけあぶら)の香りらしいのですが、私は実際に嗅いだことがなかったので、ちょっと感激。お相撲さんが視界の外を歩いていて、まだその存在に気づけていない時点でも「なんか、いい匂いかする!」と感じるのです。力士と言えば体の大きいイメージがあるなか、実際に見てみると本当に大きく感じるお相撲さんもいれば、想像していたより小柄な人もいたため、私にとっては香りの方が「本物がいる!」という実感を得られました。

スポーツであり文化でもある

もともと私が大相撲に関心を抱いたのは、その特殊性です。大相撲には、競技スポーツである側面に「興行=エンターテインメント」の要素を両立させようとしていてます。その点では、他のプロスポーツ(サッカーや野球など)と大きく変わらないのですが、そこに「神事」としての側面も加わるところが実に興味深い。さらに一周まわってむしろ現代的に感じられる、「タニマチ」という伝統的なスポンサーのシステムも注目ポイントです。たとえば「クラウドファンディング」と「タニマチ」は、1人当たりの負担額に差はあれど、個人が応援したい対象に出資するという点に、共通した精神性が見えます。文化の継続・継承を支持するために、公的なところだけを当てにしていては立ち行かなくなるイメージが私の中にはあるので、民間が支えるシステム(スポンサーあるいはパトロンという考え方)は、必要かつ健全な形だと思うのです。

高まる期待

今回体験した「巡業」は先述したとおり、大変に充実したイベントでした。取り組みや公開稽古以外にも、大銀杏を結う実演や、「初切(しょっきり)」と呼ばれる相撲の禁じ手を面白おかしく紹介してくれる見世物など、徹底したファンサービスに大満足の一日でした。また、憧れの枡席(ますせき)、つまり土俵の周辺の席から観戦してみたことで「距離は離れるけど、もう一段高い座席の方が見えやすくていいかも」という次の機会への留意点も見つかりました。コロナによる制限がなくなって以降、本場所のチケットは毎回ほぼ即完売で入手困難を極めています。けれども、いつかは真剣勝負に臨む力士の姿を拝みたい!本場所の観戦も実現させたい!という思いが強くなった、2024秋「大相撲」初体験報告でした。

記事タイトルスポーツ&文化の秋
掲載日2024年10月26日
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