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セレンディピティ

効率重視の落とし穴

とある有名進学校の国語の入試問題を読んでいて、妙に納得というか感心してしまいました。取り上げられていた文章の主旨だけまとめると「効率を重視し過ぎると、偶然の産物と出会う機会が失われてしまう」というものでした。「効率」を考えれば、まずは計画を立てて進行する流れになり、それゆえに目的の達成につながります。ところが、計画から脇道にそれたところに「価値ある発見」が存在することも少なくありません。そのような想定外に出会えた方が、そうでない場合よりも、より良い結果を生み出せることを知って欲しい、という想いが伝わってくる文章でした。

無駄ではない無駄

達成したい目的は様々ですから、そこに期限があれば効率優先、計画(スケジュール)を守って進める必要もあります。仕事の大半は、そうかも知れません。けれども入試問題に取り上げられている文章なので、目的を「学び」と考えると、やはり道中で脇道にそれまくって、より多くの物事を見聞きできる方が、結果は豊かなものになるだろうとイメージできます。広い意味での「遊び」がある方が、面白い(ここでは柔軟な思考力を持つ)人材が育つということなのでしょう。だからと言って、決して「無計画に好き放題やった方が良い」ということではなく、計画だからとガチガチにこだわり過ぎない、多少のまわり道を許容できる環境が望ましいという話です。

ちゃんと遊ぼう!

ところで、私が何に感心したのか、に話を戻します。やはり仕事の場合だと、結果に活かせるかどうかも分からない「遊び」が許容されるケースは、かなりレアです。でも例えば、旅行先での動向や休日のお出かけならば「計画にこだわり過ぎない」ことを実践できそうだと思いました。今は交通機関の乗り換え情報や、目的地までの地図をスマホで簡単に確認できます。便利なので、ついそればかりに頼ってしまって、道中ほとんどスマホしか見ていない状況に陥っていることに気づきました。美味しそうな店、面白そうな場所、心に残る風景を見逃している可能性は高いなぁ、と。遊びの時間なのに、「遊び」がまったく無くなってしまっているなんて、つくづく残念なことです。

すぐには役に立たなくても

もう少し真面目な話に移すと、調べものがあって関連する情報を得られることを期待して読んだ本が、的はずれだったことが何度かあります。例えば、セルフディベートの「住む場所について考える」のために読んだ「図解入門よくわかる 最新【都市計画の基本と仕組み】」という書籍は、テーマとの直接的な関連が弱く結果的に参考図書としては全く機能しなかったのですが、その内容は個人的にすごく面白かった!昨年読んだものの中で最も「人に薦めたい本」として挙げられるほどです。

的はずれでも大満足

ふだんの私なら絶対に手に取らないタイトルですが、読んでみると自分たちの住んでいる街がどのように作られてきたのか、というとても身近なテーマも扱われていたため、実に興味深かったです。とくに印象的だったのは、日本のまちづくりは災害と切り離せないという部分で「ピンチは、本当にチャンスなんだな」と前向きな視点を得られました。的はずれだったけれど、期待はずれにはならなかったという、まさに脇道で見つけた「価値ある発見」でした。

記事タイトルセレンディピティ
掲載日2025年2月8日
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