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牽強付会

牽強付会とは

「牽強付会」という言葉があります。「けんきょうふかい」と読み、自分にとって都合がよくなるように無理に理屈をこじつけることを指します。詭弁とか、屁理屈とか、自己正当化なども同じ意味で使われることがありそうです。これらのアクションは、他者の攻撃から自分を守るために行われることが多いのですが、自分の攻撃から自分を守るために行われることもあります。

自分への攻撃

たとえば、ダイエットをすると決意したにもかかわらず、うっかりコンビニでスイーツを買ってしまった……。このように、自分で決めたことを裏切る行為をしてしまうと、その後に続くのは「自分自身への攻撃」です。「自分で決めたことをすぐに忘れるなんて」「どうして私は意思が弱いのだろう」といったように、自分の悪いところはよくわかっているため、いくらでも自分を責める言葉が浮かんできます。これらの自己批判は、自分の行動を客観的に見つめ、成長への第一歩と捉えることもできます。

過去を正当化する

ただ、自分を責め続けてばかりでは、精神的に辛くなってしまいます。そのため、人は無意識のうちに、自分の行動を正当化するための理由を探し始めるのです。先の例でいえば、「今日は夕ご飯が少なかったから」とか、「明日は週末だから」とか、「今日はたくさん歩いて帰ったから」など、こちらも湯水のように正当化する理由を生み出すことができます。これもまた、一概に悪いことではありません。自分の過去の行動や判断を責め続けていては心が休まらないからです。人は、自分の心を保つために、時にこのような形で自分自身を「救う」必要があるのです。

組織における牽強付会

しかし、会社などの組織においてはどうでしょうか。組織においては、個人レベルとは異なり、自分自身への攻撃は弱まり、正当化の強度が増す傾向にあります。これは、組織に対する批判や改善提案が「誰かがやってくれるだろう」と他人任せになりがちだからです。また、組織内で波風を立てたくないという心理から、穏便に済ませようとする力が働きます。さらに、何人もの人が集まって正当化のアイデアを考えるため、その説得力が増してしまうのも困りものです。

組織の失敗や停滞は、このようにして巧妙な牽強付会が積み重なることで生まれていくと考えられます。もし、あなたが所属する組織に、失敗を安易に正当化するような雰囲気が漂い始めたら、それは危険信号と捉えるべきでしょう。

記事タイトル牽強付会
掲載日2025年7月5日
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