ネガティブ・ケイパビリティ

魔改造の夜
NHKで不定期に「魔改造の夜」という番組を放送しています。有名大手メーカーや業界では名の知れた実績のある中小企業のエンジニアたち、そして日本を代表する最高学府の学生たちが、競って「おもちゃ」や「家電」をモンスターマシンに改造する知的エンターテインメント番組です。私が放送を心待ちにしている理由はいくつかある中で、とくに「失敗してもいい」という番組のコンセプトを強く支持しています。
ネガティブ・ケイパビリティ
「ネガティブ・ケイパビリティ」とは、不確実性や正解の分からない状況を受容できる能力を指す言葉です。日本の学生は学力が高いとされる一方で、「分からないこと」と対峙する力が決して高いとは言えません。今の学生だけについて該当することではありません。私も含めて「正解を出せること、正解を知っていること」を評価基準にした教育にどっぷりと浸かってきた結果、「分からないこと」や「間違える」ことは、とてもイケナイこと、ダメなことのように受け止めてしまう傾向が強いのではないでしょうか。
いいから答えを教えて
個別指導の経験の中で、「分からない」から「分かる」へ辿り着くまでの過程に時間をかけようとすると、痺れを切らして「そんなのいいから、早く答え教えて」と言ってしまう子どもがいます。例えば、間違えたところを考え直しさせる際に、しばしば耳にする言葉です。暗記によって解答できる問題ではない場合、答えだけ教えてもらっても次の機会に活かせることは無いに等しいのですが、いったん答えを聞いて(分かった気になって)「安心したい、楽になりたい」という思いが強いことが見て取れます。
分からなくても大丈夫
そもそも「分からない」ことだから学ぶ訳で、「分からない」状態は少しも悪いことではありません。「分からない」と分かったときこそ、学びの絶好のチャンスのはずです。「分からない」も「失敗した」も、何かに向き合ったから経験できていることなので、スタートラインに立てた自分を誉れに思っても良いくらいです。
「折れない」という強み
「魔改造の夜」のように、失敗を許容するどころか大いに推奨する場面が、学びの時間においてもっと増えていくことを望みます。世の中には明確な正解が存在しないことの方が多いのですから、より良い答えやより良い方向を見つけるための時間とじっくり向き合える能力を、子どもたちにも自分の中にも育てていきたいです。
記事タイトル | ネガティブ・ケイパビリティ |
---|---|
掲載日 | 2025年8月9日 |
カテゴリー | ブログ |
表示数 | 65views |