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「まねぶ」の風景

模倣から始まる

「学ぶ」の語源は、古語の「まねぶ」と同じと言われています。まねぶは「真似ぶ」と書き、意味は、まねる=模倣することです。これは「守破離」にも通じていて、見聞きしたものを再現することで習得し、さらにアレンジを加えて新機軸を打ち出します。そのプロセスは、かつて日本が得意としてきた、ものづくりの流れとも関連しているように見えます。

観察から体得へ

「諸説あり」という追記と、関西弁の「知らんけど」の役割は近しいなと感じた、早春の休日。定期的に通っている田んぼで、堆肥をまく作業をしました。パワーショベルが軽トラに堆肥を積む様子を、まだよちよち歩きの乳幼児が、目を丸くして見ていました。やがて思い立ったように小石や枯れ枝を拾い集めて、お父さんの手のひらに載せていきます。どうやらパワーショベルが物を移動させている姿を再現しているのでした。

「遊ぶ、学ぶ、働く」の融合

田んぼの作業を終えたあと、路面に散らばってしまった堆肥を掃き集めていると、よちよちの乳幼児も手伝ってくれました。今度も観察してから、おぼつかない足取りで黒い塊だけを拾いあげ、チリトリに乗せてくれます。本人に「手伝う」自覚はなく、どちらかと言えば「遊び」に近い感覚で真似をして、今なすべきことを捉えて=「学んで」いました。

「まね」できる環境づくり

惜しむらくは、かわいい手で掴んだのが堆肥。つまり、ほぼウンコだったこと。しかし、歩けるとは言え不安定で時折尻もちをついてしまう幼な子が、観察からこれほど的確な理解を示す事実に感嘆しました。「真似ること」が「学ぶこと」と直結するならば、できるだけ多くの事象にふれられて再現できる環境こそ、成長に不可欠ではないでしょうか。教育者にとっては定説と思われますが、目の当たりにすると遥かに説得力がありました。これもまた、私にとっての「まねぶ」の第一歩なのかも知れません。

記事タイトル「まねぶ」の風景
掲載日2026年3月7日
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