恐れ知らずのザリガニ
問題
フロリダ大学の研究によると、ある地域のザリガニの性格が変わったことがわかりました。通常、餌を感知したザリガニは慎重に様子をうかがいながら捕食行動をとるのですが、その地域のザリガニは他の地域のザリガニと比べて隠れている時間が短くなり、餌に対しての反応が良くなっていたそうです。
一方で、他のザリガニへの反応が鈍くなったこともわかりました。総合すると、ザリガニが慎重さを失い、大胆な行動を取るようになったのです。このような変化はザリガニにとって良いことではなく、捕食される可能性が高まったり、交尾する相手と出会う確率が減ったりなど、種の存続に影響を与えると考えられています。
このようなザリガニの行動の変化について、現時点で推量されている原因は何でしょうか?
ヒント
- ザリガニは英語で「crayfish」と呼ばれ、泥の中が主な生息地域です
- ザリガニは藻類や小魚、水生昆虫などを食べます
- アメリカザリガニの場合、体重は概ね20g未満です
答え
ザリガニは人間が使用した薬(抗うつ剤)の影響を受けているようです。抗うつ剤は脳内の神経伝達系に作用する治療薬で、アメリカでは多くの人が利用していますが、体内で代謝されなかった抗うつ剤がし尿とともに下水処理場に流れ込み、処理の網をくぐり抜けて沿岸部に放出されています。非常に低い濃度ですが、生物濃縮などを経て、人間に比べて体重の軽いザリガニには十分な量となって影響していると考えられています。