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演繹法と帰納法

演繹法と帰納法

演繹法(えんえきほう)

演繹法とは

一般的、普遍的な原理から論理的に推論し、結論として個々の事例を導く思考法です。アリストテレス(哲学者、古代ギリシア)やルネ・デカルト(哲学者/数学者、フランス)が提唱者であるとされています。「三段論法」ともいいます。

演繹法の具体例

前提1
すべての人間は死ぬ。
前提2
私は人間である。
結論
私は死ぬ。

演繹法の問題点と確認方法

演繹法では前提が間違っていると論理が破綻します。

演繹法の失敗例

前提1
哺乳類は胎生である。
前提2
カモノハシは哺乳類である。
誤った結論
カモノハシは胎生である。
実際には
カモノハシは卵生である。

演繹法の確認方法

前提を繰り返しチェックすることで、演繹法の正しさを確認できます。

  • 偏見、先入観に基づいた前提ではないか
  • 限定された範囲のみで正しい前提ではないか
  • 前提の過度な省略や論理の飛躍がないか

帰納法(きのうほう)

帰納法とは

事例から論理的に推論し、結論として一般的、普遍的な原理を導く思考法です。広義には演繹法以外の推論方法全般を指します。狭義の帰納法(枚挙的帰納法)では、複数の事例から事例間の因果関係を推論し、結論として一般原理を導きます。イブン・アル・ハイサム(自然科学者、アラビア)やフランシス・ベーコン(哲学者、フランス)が提唱者であるとされています。論理的に正しい推論です。

  • 枚挙的帰納法(狭義の帰納法)
  • アナロジー(類推)
  • アブダクション(仮説的推論)

帰納法の具体例

枚挙的帰納法(狭義の帰納法)

主部や述部、またその意味するものが同じ種類の事例を多数挙げて思考します。

事例
Aが死んだ。Bも死んだ。Cも死んだ。
前提
人間は死ぬ。
結論
私も死ぬ。

アナロジー(類推)

特定の事例に基づく情報を、他の特定の事例へ、それらの間の何らかの類似に基づいて適用します。

事例
豚は死ぬ。
前提
豚は生理学的、解剖学的、病理学的に人間と似ている。
結論
人間も死ぬ。

アブダクション(仮説的推論)

特定の事例を最も適切に説明することができる仮説を導き出します。

事例
クローン動物は相対的に短命である。
前提
DNAに寿命を司る部分があると仮定すると、クローン動物が短命であることをうまく説明できる。
結論
DNAには寿命を司る部分がある。

枚挙的帰納法の問題点と確認方法

全事例を網羅しないかぎり、結論から漏れる事例が存在する可能性があります。

枚挙的帰納法の失敗例

事例
のび太(ドラえもん)は男の子である。ミツ夫(パーマン)は男の子である。正太(オバケのQ太郎)は男の子である。
前提
藤子・F・不二雄の漫画の主人公は男の子である。
誤った結論
魔美(エスパー魔美)は男の子である。
実際には
魔美(エスパー魔美)は女の子である。

枚挙的帰納法の確認方法

できる限り多くの事例を集めることで、帰納法の正しさを確認できます。

  • 全事例を網羅しているか
  • 全事例の網羅と同等の論理証明ができるか
  • 結論に反する事例はないか

帰納法と演繹法

演繹法では、前提が正しい場合、結論も正しいといえます。一方帰納法では、前提が正しいからといって結論が正しいとは限りません(常に推論であるため)。

演繹法と帰納法は相互の結論が相互の前提となります。得られた論理は相互に検証可能ですので、この検証を繰り返すことで求める真理に近づくことができます。演繹法と帰納法とは排他的な関係ではなく、状況に応じて適切な手法を選択することで、その有効性を発揮することができます。

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