MECE 重なりなく、漏れなく
MECEとは
「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略。ミーシー(あるいはミッシー)と読みます。マッキンゼー・アンド・カンパニー社(コンサルティング会社・アメリカ)が考えたコンセプトです。
MECEは、扱う情報を「部分集合の事象」、つまり「各事柄間に重なりがなく、全体として漏れがない」状態に分けて考える方法です。ロジカルシンキング(論理思考)を行う際の基本ルールとされています。
MECEとなっている例、なっていない例
日本のグローバル企業が「世界の大州(大陸を中心としたいくつかの領域に世界を区分したもの)ごとに支店を置き、それぞれに適したビジネスモデルを展開する」こと考えた場合を例に、MECEとなっている例、MECEとなっていない例を示します。
漏れも重なりもない例
- アジア
- ヨーロッパ
- アフリカ
- 北アメリカ
- 南アメリカ
- オセアニア
漏れがある例
- アジア
- ヨーロッパ
- アフリカ
- 北アメリカ
- 南アメリカ
上記では「オセアニア」が漏れています。
重なりがある例
- アメリカ
- アジア
- ヨーロッパ
- アフリカ
- 北アメリカ
- 南アメリカ
- オセアニア
上記では「アメリカ」と「北アメリカ」は重なっています。
漏れも重なりもある例
- アメリカ
- アジア
- ヨーロッパ
- アフリカ
- 北アメリカ
- 南アメリカ
上記ではオセアニアが漏れ、アメリカと北アメリカが重なっている。
MECEの有効性
漏れや重なりは機会損失、無駄を生む可能性があります。たとえば前述の大州毎に支店を置く場合では、漏れがあるとそのエリアで営業することができません。また重なりがあると、同じエリアを担当する支店がいくつもできてしまうことになります。このようにMECEは意思決定の誤りを避けたい場合、また議論の論点を明確にする場合などにも有効です。
MECEのポイント
排他性と網羅性を検証する
挙げた要素の排他性や網羅性を検証することが大切です。
最適な基準を選定する
正しいけれど「意味が無いMECE」が存在します。たとえば前述の大州区分では、南極を含めて「七大州」とする区分もありますが、現状南極に支店を置く意味はありません。またヨーロッパのように文化や経済状況が多様なエリアでは、「ヨーロッパ」という一括りの区分ではなく、より細分化したほうが良い場合もあるでしょう。MECEであれば良い、というわけではなく、目的や主題に適した、分類する際の基準(切り口)を選ぶ必要があります。
基準をアップデートする
採用した区分に基づいて行動したものの、目的に沿った結果を得ていない場合は、基準の再選定を検討しましょう。たとえば前述の大州区分を調査した結果、いずれの大州にもほぼ同じようなニーズがある場合には、わざわざ支店ごとに違うビジネスモデルを展開する必要がありません。より明確で効果の高い差異を基準にエリアを区分し、展開方法を再検討する必要があります。