ストック情報とフロー情報
ストック情報とフロー情報
情報はその性質から「ストック情報」と「フロー情報」の2種類に分けることができます。ストック情報とフロー情報、それぞれの特徴と取り扱い方についてまとめました。
ストック情報とフロー情報の例
ストック情報の例
- 辞典、辞書
- 教科書、マニュアル
- 企業の公式サイト
- Wikipedia
- データベース
フロー情報の例
- ニュース
- 天気予報
- 新聞、雑誌
- SNS
- ブログ
ストック情報とフロー情報の比較
ストック情報 | フロー情報 | |
---|---|---|
受け取り方 | プル型 | プッシュ型 |
更新頻度 | 低い | 高い |
探しやすさ | 探しやすい | 探しにくい |
情報の拡散 | 拡散しない | 拡散する |
ポイント | データ重視、情報の精度 | 文脈重視、情報の鮮度 |
ストック情報とフロー情報の境界
ストック情報とフロー情報は明確に分かれているわけではなく、ストック情報とフロー情報それぞれの特性を持つこともあります。また、情報がどちら寄りに位置しているかは常に変化しています。
変化の例
- ストック情報からフロー情報への変化
- 例)本やWebサイトを見て再注目された情報がSNSやブログで取り上げられる
- フロー情報からストック情報への変化
- 例)まとめサイトやキュレーションサイトでまとめられる
- ストック情報から別のストック情報への変化
- 文献やWebサイトが引用される
- フロー情報から別のフロー情報への変化
- SNSの投稿がシェアされる、情報がクチコミされる
Web上では、フロー情報は時間経過に伴いストック情報に変化します。たとえばブログでは、記事を投稿した瞬間から数日、あるいは次の記事を投稿するまではその記事をフロー情報として扱うことができますが、その後ストック情報に変化します。一方、ストック情報は人の手が加わらない限りフロー情報に変化しません。
ストック情報への変化をアシストする
上述したようにフロー情報は自動的にストック情報になります。したがって、アーカイブされる(=ストック情報になる)ときのことを考えてフロー情報を発信することが求められます。具体的には、次のようなことに注意してみましょう。
- 公開した時間を記載する
- フロー情報として発信した日時を記事内に記載します。情報の鮮度が判断しやすくなるとともに、日時別アーカイブがしやすくなります。
- カテゴリーやタグで分類する
- 適切なカテゴリーに分類し、可能であればタグ付けも行います。
- 意味付けをする
- その内容に関する情報(メタデータ)を一定の規則に従って付与します。
ストック情報は検索されること(プル)で見いだされることが多いようです。ただし、上述したアシスト作業の精度が甘いと、沢山ある同様の情報に埋もれてしまい、フロー情報になる可能性が低くなってしまいます。
ストック情報とフロー情報を意識すると
記憶とのつながり
人間の記憶はストック情報です。人はこのストック情報をフロー情報に変換しながら会話しています。会話中はフロー情報であったものが、会話後に頭の中で整理、選別され、新たにストック情報となる。ストック情報に効率よく変換する方法は「記憶力」を上げる方法と同じものです。また、ストック情報の構造が整然としており、フロー情報に変換しやすいと「発想力」や「応用力」として利用することができます。
ビジネスとのつながり
フロー情報はその発信頻度や鮮度が重視されます。そのため、フロー情報をメインコンテンツとしてビジネスを展開するには相当の情報力や組織力が必要となる。一方で、特にWebにおいては、「お金を出してフロー情報を得る」という土壌が十分に育っていない状況です。そこで、フロー情報を安価、あるいは無料で発信しながらも、後日それを体系的にまとめ、ストック情報としてから収益を得る方法が多くとられるようになっています。新聞が定期掲載した記事を書籍化したり、ドラマやアニメなどのTV番組は後に映像ソフトとして販売することを前提に制作しています。デアゴスティーニ社はストック情報を細かく分け、フロー情報とした後、それを集めると再度ストック情報になるという「分冊商法」を確立しています。
CMSでの考え方
WordPressに代表されるCMS(コンテンツマネジメントシステム)では、標準機能でも2種類のコンテンツを使えるものがたくさんあります。たとえばWordPressでは「固定ページ」と「投稿」の2種類が用意されており、前者はストック情報に、後者はフロー情報に適しています。しかしフロー情報である「投稿」も、いずれはストック情報に変化するため、「カテゴリー」や「タグ」、あるいは「月別アーカイブ」等でストック情報としての価値を保つための工夫がなされています。
まとめ
フロー情報とストック情報を意識すると、多様な情報、多量な情報の取り扱いに要する負担がかなり軽減されます。それぞれの特性に合った取り扱い方をすれば、情報の持っている力をより多く引き出すことができるでしょう。