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税金の使い道について考える

税金の使い道について考える
前提となる事実
2024年10月より、児童手当は所得制限がなくなり、支給期間を延長するなど、これまでよりも拡充した形で支給されます。日本の年齢別人口区分は、2023年時点で15歳未満が11.4%、65歳以上は29.1%です。

子どもを優先して支援するべき

未来への投資

家庭というミクロの視点でも、社会や国というマクロの視点でも、さらにいつの時代であっても「子は宝」です。子どもは、未来という明るいイメージを抱かせる存在であり、実利的にも将来の生産力に直結する人的資源だからです。また、教育や子育てへの支援を手厚くすることは、国内の生産年齢人口を海外へ流出させないこと、同時に海外から生産性の高い人材の流入を促すことにつながります。人口の多くを占める高齢者を支えていくためにも、子育て支援に優先的に税金を支出することが必要です(参考01)。

諸外国と比べて国の支出に占める教育費の割合が著しく低い

OECD(経済協力開発機構)が発表したデータによると、2019年時点での日本のGDP(国内総生産)に占める教育への公的支出の割合は、2.8%であり、調査した37か国中で36位でした(参考02)。OECDの平均は4.4%であることから見ても教育機関への公的支出の低さが窺えます。そこでは日本の特徴として、高等教育を受ける(大学へ進学する)際の私費負担が大きい点や、返還義務のある奨学金の利用が多い点を指摘されました。大学進学に必要な費用負担を各家庭ではなく、公的な支出で賄えば、2人目や3人目の出産や子育てについて積極的に検討できるようになり、少子化対策としての効果を発揮するはずです。また、初等教育および中等教育についても、公的支出の割合が高いフランスや、100%公的支出で賄っているスウェーデンは合計特殊出生率の改善や維持を実現しています(参考03)(参考04)。

高齢者への支援は本当に必要なのか

高齢者への「年金」の給付は、対GDP比において、イギリスやアメリカを上回っています(参考05)。健康保険についても日本は皆保険であることから、平均寿命の高さを維持できています(参考06)。さらに、2022年発表の統計によると、2人以上世帯の年齢別の純貯蓄額(負債を除いた貯蓄額)は、60歳以上と70歳以上の層が最も高く、いずれも平均2000万円以上の貯蓄がありました(参考07)。また、2023年の認知されている特殊詐欺(オレオレ詐欺など)の被害件数は19,038件、被害額はおよそ452億円、そのうち高齢者の被害が占める割合は78.4%と発表されています(参考08)(参考09)。要するに特殊詐欺のターゲットにされるほど、高齢者には預貯金があると犯罪者は見込んでおり、実際に期待どおりの金銭を引き出せているということです。もちろん世帯による差があるとは言え、子育て世代よりも確実に経済的な余裕があることは明らかである以上、公的資金による支援は、教育と子育て支援に優先して投じられるべきなのです。

高齢者を優先して支援するべき

長生きできる国はすばらしい

日本の高齢化の要因は、日本人の平均寿命の長さにあります。つまり、それを実現できるだけの医療技術と各種制度が整っている国だと言えます。問題となっているのは「高齢化」ではなく「人口減少」であり、生産年齢人口の増加を実現するためには、日本人を海外へ流出させないこと、そして外国人を多く受け入れることが大きな軸となります(参考01)。それらを実現するためにも、たとえ生産年齢を過ぎた高齢者であっても、永続的に安心して暮らせる社会保障を維持することは不可欠なのです。

高度成長期を支えた世代に報いる

日本が世界の中で先進国として名を連ねられているのは、高度成長期(1955年頃〜1973年頃)を支えた、現在の高齢者の果たした役割が大きいのは疑う余地がありません。第二次大戦後の日本経済は、戦前と比べて、また世界水準からも大幅に後退していました。しかし、1962年には工業生産の分野で世界5位の規模にまで成長し、教育水準もアメリカに次いで2位に上り詰めており(参考02)、1970年代の初頭には先進国の仲間入りを果たしています(参考03)。その背景には、1960年代の年間の労働時間や出勤日数が共に、2000年代と比べておよそ120%以上だった実態などがあります(参考04)。第二次大戦後の日本経済を、復興以上の世界水準に到達させた世代の貢献に報いることは、極めて自然です。

教育への支援は本当に必要なのか

他国と比べて教育費に対する公的支出の割合が少ないという事実を(参考05)、問題として取り上げることは不適切です。なぜなら公的な支出が少ない状況でも、日本の高等教育修了者の割合はおよそ65%にのぼり、他の先進国(アメリカ、ドイツ、フランス、スウェーデン)と比べても、最も高くなっているからです(参考06)。大学進学率の高さは、晩婚化や、女性の第一子出産年齢の上昇と関連があり、少子化の要因として挙げられています。また、2023年に日本のGDPを抜いたドイツでは(参考07)、中等教育の段階で、将来は職業訓練を受けるか大学進学を目指すかの進路選択があり、高等教育修了者(大学卒業者)の割合は4割未満となっています(参考08)。つまり、生産年齢人口を確保するためには、公的支出の割合を高めて高等教育修了者を増やすことではなく、高い職業意識を持つ人材の育成へと教育の中身を変革していくことが重要です。

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