「やりたい仕事」と「できる仕事」
仕事とは
自己表現や(一般的な意味での)自己実現の方法として、「仕事」を挙げる人は多いのではないでしょうか。辞書的な意味では、仕事とは「生計を立てるために従事する職業のこと」です。とはいえ、仕事に対する認識や取り組み方は人によって様々で、仕事こそが生きがいであるという人もいれば、仕事はお金を稼ぐための手段に過ぎない、という人もいます。
子どもの頃、誰でも一度は「大きくなったら何になりたいの?」という質問をされたことがあるでしょう。多くの場合、これは「将来どんな仕事に就くつもりなのか」を尋ねているのですが、世の中のことをあまり知らない子どもにとってはなかなか酷な質問です。残念なことに、実際に仕事を検討しなければいけない高校生や大学生になっても「世の中のことをあまり知らない」という状況はさほど変わっておらず、あまつさえ社会人になってからも「どんな仕事が良いのか」「どんな仕事をするべきか」で悩んでいる人はたくさんいるようです。
仕事を分類する
「どんな仕事をするべきか」を考えるにあたり、「やりたいこと」と「できること」を軸に考える方法があります。加えて、前述したように、仕事では生計を立てなくてはいけないので、もう一つの軸として「お金を稼げるかどうか」も合わせて考えてみると、次のようにまとめられます。
仕事の分類
お金が稼げる | お金が稼げない | |
---|---|---|
やりたいこと | A:やりたいこと+お金が稼げる | B:やりたいこと+お金が稼げない |
やりたくないこと | C:やりたくないこと+お金が稼げる | D:やりたくないこと+お金が稼げない |
できること | E:できること+お金が稼げる | F:できること+お金が稼げない |
できないこと | G:できないこと+お金が稼げる | H:できないこと+お金が稼げない |
前提として、「やりたいこと」とは、時間を忘れて取り組めるほど好きなことを、「やりたくないこと」とは、それに費やす時間をできるかぎり減らしたいことを指します。他方、「できること」とは、他の人が苦労すればなんとかできるけれど、自分は苦労せずできてしまうことを、「できないこと」とは、時間をかけたり苦労したりすればできるけれど、仕上がりもさほど芳しくないことを指します。
なお、ここでは「やりたいこと」と「できること」が一致している人は考慮していません。やりたいこととできることが一致していて、お金が稼げるのであれば、それ以外の仕事を検討する必要が無いからです。
仕事を分析する
上記のように表でまとめると、「望ましい仕事の形」のものから「仕事にはならない」ものまで、段階的に分かれていることに気が付きます。
望ましい仕事の形 |
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仕事だから仕方がない |
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夢だから仕方がない |
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継続するのが難しそう |
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仕事にはならない |
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仕事をしている方の多くは、「A:やりたいこと+お金が稼げる」や「E:できること+お金が稼げる」、「C:やりたくないこと+お金が稼げる」に当てはまると推量します。中には「B:やりたいこと+お金が稼げない」の方もいるかも知れません。
一方、仕事が楽しくない方や、現在転職を考えているような方は「D:やりたくないこと+お金が稼げない」や「F:できること+お金が稼げない」、「G:できないこと+お金が稼げる」に該当している可能性が高いです。「H:できないこと+お金が稼げない」は、学生やトレーニング中のインターン生なのであれば許容することもありますが、仕事としては難しそうです。
より良い仕事の形と現実
それでは、「望ましい仕事の形」に分類した「A:やりたいこと+お金が稼げる」と「E:できること+お金が稼げる」とでは、どちらが良いのでしょうか。
学生から社会人になるタイミングでは、「A:やりたいこと+お金が稼げる」を希望するはずです。しかし、就活がうまくいかなかったり、希望の部署に配属されなかったり、下働きしかさせてもらえなかったりして、「E:できること+お金が稼げる」や「C:やりたくないこと+お金が稼げる」を受け入れていく場合が多いのではないでしょうか。そこから経験を積んだり、スキルアップや転職をして、「A:やりたいこと+お金が稼げる」を獲得できる場合もあると思います。
理想的な仕事に近づくために
実は、理想的な仕事は、前提から外した「やりたいこととできることが一致しており、お金が稼げる」仕事です。これに近づく方法は3つあります。1番目は「A:やりたいこと+お金が稼げる」を、「できること」にもする方法。2番目は「E:できること+お金が稼げる」を「やりたいこと」にもする方法。3番目は、「B:やりたいこと+お金が稼げない」を「できること」にもしながら「お金の稼げる」にもしてしまう方法です。
1番目の「A:やりたいこと+お金が稼げる」を、「できること」にもする方法は、経験を積むうちに徐々に近づいていくことができます。2番目の「E:できること+お金が稼げる」を「やりたいこと」にもする方法は、多くの社会人が経験していると思いますが、続けているうちに仕事が好きになった、というパターンです。前途多難なのは3番目の「B:やりたいこと+お金が稼げない」を「できること」にもしながら「お金の稼げる仕事」にしてしまう方法です。これを実現するには相当の努力と運が必要です。
見直すべき状態
見直すべき状態なのは2つあります。ひとつは「A:やりたいこと+お金が稼げる」や「E:できること+お金が稼げる」、「C:やりたくないこと+お金が稼げる」に当てはまっていない状態で仕事を続けることです。おそらく、近いうちに仕事に対する不満や、環境に対する不満が溜まっていき、つらくなってしまうことが予想されます。
もうひとつは、せっかく「A:やりたいこと+お金が稼げる」や「E:できること+お金が稼げる」、「B:やりたいこと+お金が稼げない」の状態で仕事ができているにも関わらず、理想的な状態(やりたいこととできることが一致しており、お金が稼げる状態)に近づくためのアクションをしないことです。仕事をすぐに辞めてしまったり、仕事に魅力や醍醐味を見つけられなかったり、いやいや仕事をやっているなど、ネガティブな状態では理想的な状態には近づくことができません。
仕事を楽しく続けるために
ここまで「やりたいこと」と「できること」を軸に仕事を見てきましたが、本当に難しいのは「できること」を見つけることです。議論の前提として、「できること」とは、他の人が苦労すればなんとかできるけれど、自分は苦労せずできてしまうことを指す、としましたが、これを自分で発見するのはなかなか難しいことなのです。いろいろなプロジェクトやタスクに挑戦し、上司や同僚のフィードバックをもらいながら、自分の「できること」を見つけましょう。「できること」が見つかれば、それに「やりたいこと」を絡めながら、楽しく仕事を続けることができるはずです。
記事タイトル | 「やりたい仕事」と「できる仕事」 |
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掲載日 | 2023年11月18日 |
カテゴリー | ブログ |
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