双子の顔を見分ける方法
クロスレースエフェクト
「クロスレースエフェクト(Cross Race Effect、CRE)」と呼ばれる、人の認知に関わる傾向があります。これは、対象となる民族や人種によって、顔を認識したり判別したりする能力に差がみられる、という傾向です。観光のために来日した黒人の顔がすべておなじに見えてしまうとか、逆に、海外に行くと全然似ていないにも関わらず「あなた、何とかっていうアジア人サッカー選手に似ているわね」と頻繁に言われた、というような体験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。どうやら、人は自分の所属する人種や民族「以外」の顔を認識/判別する能力が低いようです。
人種や民族の差だけでなく、年齢や世代の差も
人種や民族の違いだけでなく、年齢や世代が異なるときにも顔を見分ける能力に差が生まれます。例えば、子どもの頃は老人の顔がすべて同じに見えましたし、中年になるとアイドルの顔の見分けがつきにくくなってしまいます。面白いことに、普段からたくさんの老人に接している子どもや、老人ホームなどで働く若者は老人の顔を認識する能力が高いようです。同様に、高齢者であっても学校の先生は学生や生徒の顔を見分けられますし、アイドルの推し活をしている中年は40人以上からなるアイドルグループの顔を見事に判別することができたりもします。
研究によると
クロスレースエフェクトの研究によると、子どもよりも大人のほうが、男性よりも女性のほうが、田舎の人よりも都市の人のほうが、外国人の顔を認識する能力が高い傾向にあるそうです。これらのことから、自分が所属している属性とは異なる属性の人々と接触する頻度と、その必要性によって、認知能力が高くなったり低くなったりしていると推量されます。身近であったり、頻繁に会う人であればきちんと見分けられるというのは、自然なことのように思います。もう少し飛躍させて考えると、知らないものや興味のないもの、普段目にしないものに対する認知能力は、そうでないものに比べて著しく低くなる、ということです。
双子の顔を見分ける方法
ここで、タイトルにした「双子の顔を見分ける方法」ですが、ここまで読んだ方にはその方法が頭に浮かんでいるはずです。対象となる双子に興味を持って、双子と接触する時間を増やせばよいのです。その証拠に、親や兄弟、仲の良い友達は、瓜二つな一卵性双生児であっても見事に見分けることができます。
「好き」の対義語は「嫌い」ではなく「無関心」である、という言い回しは、マザーテレサの言葉がもとになっているそうです。自分が知らないこと、興味がないことについて、人は非常に冷たく残酷な態度を取ってしまいがちです。やはり、無用な争いやネガティブな感情を生み出さないためにも、「興味」や「好奇心」は失ってはいけないですし、知識や情報のインプットも続けていかなければいけないのではないでしょうか。自分には関係ないからと切り捨てたり、情報をシャットダウンしてしまう前に、一度受け入れ、咀嚼してから、判断して嫌いになるくらいのほうが、メリットが大きいかもしれません。
記事タイトル | 双子の顔を見分ける方法 |
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掲載日 | 2024年9月21日 |
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