三角ロジック
三角ロジック
論理的思考の基礎となる考え方である「三角ロジック」についてまとめました。実は、普段から意識することなく行っている思考方法のひとつですが、自論を確認したいときや、相手の論理に疑問を感じたときなどに意識して使うと便利なツールです。
三角ロジックとは
「三角ロジック」は、論理的思考の基礎となる考え方です。「演繹法」や「帰納法」も三角ロジックに当てはめて考えることができます。三角ロジックを段階的に用いると、より論理的なで強固な論理展開が可能となります。三角ロジックは、Stephen Toulmin(哲学者/イギリス)が提案したといわれています。
三角ロジックの基本
頂点が「CLAIM(主張)」「DATA(データ)」「WARRANT(理由付け)」からなる三角形を想定します。「CLAIM(主張)」に対する疑問(Why?)の答えが「DATA(データ)」と「WARRANT(理由付け)」で示され、他方、「DATA(データ)」と「WARRANT(理由付け)」から導かれる結論(So What?)が「CLAIM(主張)」となります。
三角ロジックの頂点に該当するもの
- CLAIM:主張、結論、要求、推論、仮説 など
- DATA:データ、情報、知識、事実、資料、証拠 など
- WARRANT:理由付け、根拠、論拠、保証 など
三角ロジックの例
ペットボトル入りの水が日本で売れるかどうか
- DATA:水道水の水質が悪化している
- WARRANT:水道水が飲めない国や地域ではペットボトル入りの水が売れている
- CLAIM:ペットボトル入りの水は日本でも売れる
テレビを買い換えるべきかどうか
- DATA:予算内に収まり、満足できる性能のテレビがいくつかある
- WARRANT:新製品が発売された直後である
- CLAIM:テレビを買い換えるべき
演繹法と帰納法
論理的な思考の手段である「演繹法」と「帰納法」も、三角ロジックに当てはめて考えることができます。
演繹法
一般論から個別事象を導出します。WARRANT(理由付け)がCLAIM(主張)のよりどころとなります。
- WARRANT:資格試験に合格すると安定した仕事に就ける
- DATA:私は資格試験に合格した
- CLAIM:私は安定した仕事に就けるはずだ
帰納法
個別事象から一般論を導出します。DATA(データ)がCLAIM(主張)のよりどころとなります。
- DATA:買い切り型からサブスク型に移行するサービスが増えている
- WARRANT:サブスク型に抵抗感のないユーザーが増えている
- CLAIM:サブスク型の料金体系を採用すべき
三角ロジックの有効性を検証する
WARRANT(理由付け)、DATA(データ)のいずれかが崩れると、CLAIM(主張)も崩れます。また、DATA(データ)が同じであっても、WARRANT(理由付け)が変化するとCLAIM(主張)も変化する場合があります。
DATA(データ)の検証
データの量、データの鮮度、引用の正確さ、引用元の信頼性などを検証しましょう。
WARRANT(理由付け)の検証
WARRANT(理由付け)には大きく分けて「動機」「権威」「関連性」の3つの種類があります。「動機」は人の欲求や価値観に基づくもの、「権威」はデータの元になる人物や組織の信頼性に基づくもの、「関連性」は因果関係や兆候、類推などです。動機のWARRANTでは別の動機の有無を、権威のWARRANTでは人物の権威を、関連性のWARRANTでは因果関係の強さや一貫性を検証しましょう。
WARRANT(理由付け)で変化するCLAIM(主張)の例
A:ペットボトル入りの水が日本で売れるかどうか
- DATA:国内の水道水の水質が悪化している
- WARRANT:水道水が飲めない国や地域ではペットボトル入りの水が売れている
- CLAIM:ペットボトル入りの水は日本でも売れる
B:ペットボトル入りの水が日本で売れるかどうか
- DATA:国内の水道水の水質が悪化している
- WARRANT:無料で手に入るモノにわざわざお金を出す人はいない
- CLAIM:ペットボトル入りの水は日本では売れない
多段階の三角ロジック
WARRANT(理由付け)に対する疑問をさらにDATA(データ)とWARRANT(理由付け)で強固にしていくことができます。
STEP1:テレビを買い換えるべきかどうか
- DATA:予算内に収まり、満足できる性能のテレビがいくつかある
- WARRANT:新製品が発売された直後である
- CLAIM:テレビを買い換えるべき
STEP2:新製品が発売された直後は家電の買い時かどうか
- DATA:新製品が発売されると旧製品が安くなる
- WARRANT:販売店が在庫を減らしたいので旧製品の価格を下げる
- CLAIM:新製品が発売された直後は家電の買い時である
STEP3:販売店は在庫を減らしたいかどうか
- DATA:新製品の方が売りやすい
- WARRANT:新製品は旧製品に比べ性能がすぐれている事が多い
- CLAIM:販売店は在庫を減らしたい
STEP4:新製品は旧製品に比べ性能がすぐれているかどうか
- DATA:新製品はより高画質になっている
- WARRANT:テレビで用いる新しい技術が市販品に採用され始めた
- CLAIM:新製品は旧製品に比べ性能がすぐれている
このように、三角ロジックの積み上げは説得力の強化方法として優れているため、説得やプレゼンテーションのフローとして用いることができます。