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経験と年齢と期待との関係

外部委託

仕事をしていると、時間がないことや専門の知識や経験が不足していることを理由に、他の人に仕事をお願いすることがあります。いわゆる「外部委託」とか「外注」とよばれるもので、本来であれば社内の人で賄うべき作業を外部のプロフェッショナルにお願いすることは珍しいことではありません。さて、そのプロフェッショナルに仕事をお願いするにあたり、次の2人が候補にあがったとすると、どちらに仕事をお願いしたいでしょうか。

就業年数の差

ひとりは業界12年目の中堅の方。もう一人は業界2年目の新人の方。おそらく、他の条件が同じであれば中堅の方に依頼する判断をする人のほうが多いのではないでしょうか。中堅の方のほうが、いろいろと知識や経験がありそうだからです。それでは、業界30年目のベテランの方と、さきほどの中堅の方とはどうでしょうか。もしかしたら、ベテランの方に依頼する方もいれば、中堅の方に依頼する人もいるのではないでしょうか。どうやら、仕事をお願いするにあたり、経験年数だけが判断基準となるわけではなさそうです。

「仕事の内容」の情報を加える

それでは、ひとつ情報を加えてみましょう。「ITの開発をお願いしたい場合」ではどうでしょうか。今度は、中堅の方にお願いしたいと思う方が多くなりそうです。中堅>ベテラン=新人、くらいの感覚でしょうか。

では「特殊な金属加工をお願いしたい場合」ではどうでしょうか。これはベテランの方が有利かもしれません。ベテラン>中堅>新人、の順になりそうです。

最後に「若者向けの今風のデザインをお願いしたい場合」ではどうでしょうか。これは新人さんにお願いすることになりそうです。新人>中堅>>ベテラン、という順番でしょう。

仕事の内容によって「仕事の信頼度が高まる時期」が変わるのは、興味深いです。

「年齢」の情報を加える

それではもうひとつ、「年齢」の情報を加えるとどうでしょうか。先述の「新人」「中堅」「ベテラン」は、なんとなく「20代」「30代」「40代〜50代」をイメージしていたのではないでしょうか。しかし、「50代の新人」もいるでしょうし、「20代のベテラン」も条件が揃えばいるでしょう。年齢の情報が加わると、先程の「ITの開発をお願いしたい場合」「特殊な金属加工をお願いしたい場合」「若者向けの今風のデザインをお願いしたい場合」のいずれも、順番が変わってくるかもしれません。

年齢が上がると、ある程度以上の経験を期待されます。中年になってから、業界や仕事の内容を大きく変えるような転職が難しいのはこれが原因なのではないでしょうか。加えて、年齢が高くなると、「迅速に対応してくれないのでは?」「新しい技術や知識を追えていないのでは?」「費用が高いのでは?」など、事実ではないかもしれない想像をされてしまいます。

経験と年齢と期待との関係

人は他人に何かを依頼するにあたり、まずは「年齢」をみて、その後「経験年数」を見て、その人に期待する成果物のレベルを決めています。会社員ではない多様な働き方が一般的になり、一つの組織で長く働く人が少なくなってきました。この環境で、実力主義を標榜していくかぎりは、年齢に基づく期待を常に超えていけるよう、年齢を重ねても常に自己研鑽を積むことが求められます

一方で、これまで繰り返し言われてきた「若いときの苦労は買うてもせよ」などの格言や「転職するなら30歳までに」などのことばにつながる、若年期の働き方やキャリアに対する考え方についてのヒントも見えてくるように思いました。

記事タイトル経験と年齢と期待との関係
掲載日2024年10月5日
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