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むつかしいことをやわらかく

馬鹿になる?!

今から遡ること数十年前、昭和の頃には「テレビを見ると馬鹿になる」と言われることがしばしばありましたが、現在では子どもがテレビに夢中になるという時代でもなくなりました。代わりに、YouTubeなどの動画コンテンツの人気や、Nintendo Switchなどのゲームの普及率には目をみはるものがあります。そのため、最近の教育熱心なお家では、ゲームを禁止したり、あえてスマホを持たせない(インターネットに繋がない)などの工夫をしていたりします。要するに現代では「ゲームをすると馬鹿になる」「スマホばかり見ていると馬鹿になる」と考えられているということでしょうか。

それが原因ではない

実際には、テレビやゲームを楽しんだからといって馬鹿にはなるとは限りません。それらを禁止している親御さんも、きっと本気で馬鹿になるとは思っていないはずです。ただ、いずれも中毒性が高いものなので、1日中そればかりになってしまわないように「制限をかける必要がある」と判断して、家庭内のルールとしているのだと思います。他にも「馬鹿になる」からと、子どもが取り上げられやすいものに「漫画」があります。身もふたもない話ですが、ゲームをやっても漫画を読んでも、そこから何かを学べる人(子ども)がいる一方で、本を何冊読んでも何も身についていない人もいます。要するに、馬鹿になる原因はゲームや漫画にある訳では無いようです。

「できる子」の条件

頭の切れる同年代の友人や、塾で担当した勉強が「できる子」達は、大抵の場合ゲームや漫画を禁止されることなく、それらを大いに楽しんで子ども時代を過ごしている人が多いようです。「できる子」は必要に応じて自ら制限をかけられるし、遊びと勉強との切り替えが「できる子」なのです。成績などの結果に直結するのは、実は「物覚えの良さ」よりも、(年齢が上がるほど)その要素が大きいと感じています。教育本や雑誌では、それを指して「自走できる子」と呼んでいます。けれども、自身を上手くコントロールする(やりたいことと、やらなければいけないことのバランスをとる)のは大人でも簡単ではありません。ですから「うちの子は、ほっといたら際限なく遊んじゃうな」と判断した親御さんが、ゲームなどを制限するのは、ベストではなくてもベターな方法といえます。

2023年のお薦め書籍は「地政学」

さて、すでに2023年も11月になり、暦の上では冬にあたるのですが、やっと秋が来た(気持ちのいい季節になった)という感覚にまかせて、「読書の秋」としてお薦めの本を紹介します。漫画が含まれていますが、ゲームや漫画からは学べることも多く、格別に「できる子」ではなくても、それを吸収できる子は案外たくさんいます。先に活字の本から紹介しますと、すでに各方面で取り上げられ、ベストセラーになっている「13歳からの地政学:カイゾクとの地球儀航海」です。今起きている、ロシアのウクライナへの侵攻などについて、ただ「ひどい」「戦争は嫌だ」で終わらせるのではなく、その根幹にあるものが見えてくる良書です。新書レベルの内容を対話形式で分かりやすく解説してくれるので、タイトルどおり中学生以上が対象ですが、「ニュース総まとめ」的な本を読んで必死に就活の対策をしている大学生にもお薦めです。ただ世界のニュース(できごと)だけ追っていくよりも、何でそれが起きているのかを押さえていくと、面接での受け答えもしっかりしてくるはずです。

漫画だってためになる

「地政学」つながりで、どうしても活字が苦手な子どもや大人にお薦めなのが「紛争でしたら八田まで」というコミックス(漫画)です。たとえば、イギリスのEU離脱については日本でもニュースで大きく取り上げられましたが、離脱したことで実際にどのような問題に直面しているのかなどの詳細が報じられることはあまりありません。そのあたりをエンタメ的に知ることができる作品です。フィクションですが、エピソードの終わりに専門家による解説もついており、知識を深められます。世界情勢については、多くの知識人から愛読されている「ゴルゴ13」も、取材が行き届いていることで有名ですが、令和の若者にはゴルゴ13の劇画タッチよりも、八田さんが主人公として活躍する方が、とっつきやすいと思い取り上げました。おすすめします。

記事タイトルむつかしいことをやわらかく
掲載日2023年11月11日
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