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昆虫食について考える

昆虫食について考える
前提となる事実
世界の人口は過去50年で2倍以上になり、さらに今後も増加すると予測されています

昆虫食は必要

食糧不足、栄養不足への解決策

世界人口の増加に伴い、食糧の需要と消費量も増え続けています。例えば、魚については過去50年で、1人あたりの消費量は2倍に、飼料や肥料として使用した分も合わせると世界全体での消費量は約5倍に増えました。その結果、自然界での魚介類の個体数は減少し、生態系のバランスを崩しています(参考01)。このような状況から、2013年に国連の食糧農業機関(FAO)は、解決策として「昆虫の活用を推奨する」報告書を発表しました(参考02)。実は昆虫は栄養価が高く、効率よくタンパク質を摂取できるというメリットがあります。牛や豚、鶏などの場合、タンパク質の摂取量は食肉100gに対して21〜23g程度ですが、コオロギの場合は100gに対して60g、つまり同じ重量で約3倍のタンパク質を摂取できるのです(参考03)。

家畜よりも環境負荷が少ない

食用昆虫の飼育は、従来の家畜を飼育するよりも環境負荷の軽減に大きく貢献できます。まず、同量のタンパク質を得られる大きさにまで飼育する際に必要なエサ(飼料)の量が、牛と比べて17%、豚と比べると34%で済みます。飼料が少なく済むということは、飼料を手に入れるために必要な多くの水やエネルギーをも節約できるのです。つぎに、昆虫は従来の家畜よりも狭いスペースで飼育できます(参考03)。また、昆虫は繁殖力に優れ、成長も早く、短いサイクルで出荷できるため、大量生産にも適しています(参考02)(参考03)。さらに、糞尿やおくび(いわゆるげっぷ)などから多くの温室効果ガスを排出する牛などの家畜と比較すると、昆虫はその量が極めて少ない点も注目されています。

昔から食べられてきたもの

昆虫は古くから、動物性タンパク質の入手が困難な地域では重要な栄養源となってきました。現代でも約20億人、世界人口の4分の1以上の人々に食べられています(参考04)。日本にも郷土料理として、イナゴの佃煮や蜂の子料理が存在します。とは言え、昆虫食の文化がない国や地域、あるいは文化はあっても馴染みのない世代にとっては、食べるものとして受け入れがたいのも事実です。しかし粉末状に加工することなどで、心理的な拒絶感は軽減できます。また、昆虫は個体が小さいため、従来の家畜よりも加工しやすく、捨てる部位が少ないという利点もあります(参考04)。健康志向や環境問題への関心が高まる現代でこそ、積極的に活用していくべき食材と言えます。

昆虫食は不要

「食べつけない」は意外に深刻

現代の日本でもローカルフード(郷土料理)として、イナゴの佃煮などがありますが、あるアンケート結果によると「昆虫を食べた経験のない」人の割合は全体の7割を占めました(参考01)。また、昆虫食の経験のない大学生を対象に、昆虫食に対するポジティブな情報を共有した上で行った意識調査では、これまでの習慣から「食べられない」や、理屈抜きで「拒否する」などの否定的な意見が根強い結果が出ました(参考02)。日本は海産物を入手しやすい沿岸部の地域が多く、昆虫食にタンパク源を頼ってきた伝統を持つ地域は限定的です。たとえ、昆虫がエビやカニに近い見た目や味であっても、馴染みのない食材への抵抗感は否めず、「気持ち悪い」という心理的な拒否反応を取り除くことは非常に困難です。

安心できない

昆虫は腐敗しやすいため、生きている状態のものを採取してくるか、あるいは管理の行き届いた施設で繁殖させたものを食材とするなど、衛生管理の徹底が求められます。ただし、新鮮であれば良いわけではありません。自然採取した昆虫の場合、どのような環境で何を食べてきたのかまで把握することはできないからです。毒性のあるエサを取り込んだ昆虫を食用にした際の影響だけでなく、工場で飼育されエサの管理が行き届いたものでも、甲殻類のように昆虫食によって発症するアレルギーの可能性にも注視していく必要があります(参考03)。

昆虫食よりも先に

世界人口の増加による食糧不足への対策として、昆虫食以外の選択肢が多く存在しています。インテリアブランドとして有名なIKEAは、「SPACE10」という研究機関を通じて「フードテック」と呼ばれる代替肉の開発を進めており(参考03)(参考04)、2018年からスピルリナという藻類、昆虫を使った人工肉の研究に取り組んでいました。最終的に商品化された、動物肉を使わないミートボールの代替品「プラントボール」は、エンドウ豆由来タンパク質やオーツ麦など、昆虫以外の食材から作られています(参考05)。また、新しい食材の開発や生産よりも先に、食糧危機の原因として深刻な問題であるフードロス(食べられるのに捨てられている食品)の解消に、何よりも優先的に取り組むべきです(参考06)。

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