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リサイクルについて考える

リサイクルについて考える
前提となる事実
世界的な問題となっている「海洋プラスチックごみ」は、その8割以上が陸上から海へ流出したものです。また過去50年間に生産されたプラスチックのうち、リサイクルされたものはわずか9%とされています。

リサイクルは必要である

ごみを減らせる

リサイクルの目的と効果は、大きく分けて2つあります。1つめは、世界人口と共に増え続ける「ごみを減らすこと」です(参考01)。2021年時点での、日本におけるごみの最終処分場の状況は残余年数23.5年と発表されています(参考02)。ごみは焼却処理することで容量を減らせても、まったく無くなる訳ではありません。焼却してかさを減らしたごみを埋め立てる場所が「最終処分場」であり、「残余年数」とは埋立地がいっぱいになり限界を迎えるまでの年数です。もちろん、新たに埋立地を作れば残余年数は増やすことができます。しかし建設には広大なスペースが必要なだけでなく、ごみからの有害物質が周辺の環境を汚染しないようにコントロールできる場所が条件となるため、最終処分場の新設は困難な状況です(参考03)。そのため、リサイクルによって少しでもごみの量を減らす必要があるのです。

有限な資源を節約できる

リサイクルの目的と効果として、2つめに挙げられるのは、地球上に限りある「資源を節約すること」です。ごみも元々は限りある天然資源を原材料として作られたものがほとんどです。例えば、ペットボトルの原材料は石油なので、リサイクルすることで石油の使用量を減らせます。また、天然資源から新たに作るよりも、リサイクルして作る方がエネルギー使用量を大きく減らせる場合があります。例えばアルミ缶のリサイクルは、天然資源のボーキサイトから新たにアルミの地金を作るよりも、エネルギー使用量を94%減らせます(参考01)。

環境を守れる

リサイクルを推進することで、地球環境の保全につながります。まず、ごみとして焼却しなければ、温暖化の原因とされている二酸化炭素排出量を減らせます。前述したアルミ缶の場合、天然資源からアルミの地金を作るときよりも、リサイクルによってアルミの地金を作る方が二酸化炭素排出量を96%減らせます(参考01)。また、ごみの焼却は二酸化炭素だけでなく、酸化窒素類やより有害な物質(ダイオキシンなど)を少なからず発生させます。他にも、リサイクルせずにごみの量を減らせなかった場合、多額のコストをかけてごみの最終処分場(埋立地)を増設しなければならず、海岸や森などの自然を失うことになります(参考03)(参考04)。

リサイクルは不要である

リサイクルができていない実情

リサイクルによって得られるメリット(ごみの削減と資源の節約)は極めて限定的で、世界的な問題となっている「海洋プラスチックごみ」については効果を発揮できていません(参考01)。OECDの2018年の報告によると、廃プラスチックのうちリサイクルされているのは2割に満たず、24%は焼却され、5割以上が不法投棄や焼却されています(参考02)。プラスチックは日本で行なっているように高温で焼却しなければ有害物質(ダイオキシン)が発生します。また、不法投棄されているものが海に流出して「海洋プラスチック」となっています。さらにプラスチックは自然分解されないため「マイクロプラスチック」となって、やがては有害物質が付着した状態で人間の体内にも入り込んでしまいます(参考03)。2016年に発表された試算では、2050年には海洋中のプラスチック量が魚の量を上回るとされています(参考04)。

資源ごみの国際移動

プラスチックのリサイクルには、細かな分別や洗浄など多くの人的コストを要します。そのため、人口が多く人手を確保できる国が、他国の廃プラスチックを資源ごみとして輸入してきました。ところが輸入国の多くが、廃プラスチックを適切に保管できておらず、再生されることなく海洋プラスチックとして流出していることが分かりました(参考03)。その事実をふまえて、最大の輸入国である中国は2017年から廃棄物の輸入を禁止しています(参考06)。また、廃プラスチックをはじめとする「資源ごみ」が国際移動する背景には、ごみを適切に収集や処分できる施設のある国が少ないことが挙げられます。途上国だけでなくヨーロッパでさえ、日本のようにごみを収集し処分できるシステムを持っていない国があるのです。

リデュースとリユース

ごみを減らすことが国際的な喫緊の課題であるならば、生産量=使用量を減らす(リデュース)ことが先行しなければいけません。容器包装プラスチックの使用量は、1964年から2014年の50年間で約20倍以上に急増し、311万トン達しています(参考04)。食品や医療に関わる容器は衛生的であることが求められるため、一定量の使い捨てプラスチック容器の需要は否めません。しかし、生分解性プラスチックや牛乳パックのような、環境負荷の少ない使い捨て容器(素材)への移行は可能です(参考07)。また、容器包装プラスチックは廃プラスチックの半分程度に過ぎません。大量生産大量消費が当たり前の現代的な発想を転換して、長期的に、あるいは繰り返し使用(リユース)できる製品を再評価するべきです(参考08)。できるかどうか分からないリサイクルをあてにせず、修理やアップグレードできるものを製造し、購入するという選択肢をとることが、ごみを減らし環境負荷を軽減する最善策なのです。

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