読込中

宿題について考える

宿題について考える
前提となる事実
ベネッセ総合教育研究所が実施した、小学校教員を対象とした調査によると、「1日あたりの宿題の平均時間」は、1998年では27.2分でしたが、2021年には35分という回答でした。また、宿題を「毎日出す」という教員は1998年には84.8%でしたが、2021年には97.6%となり、小学生の宿題の量と頻度は増えてきました。

宿題は必要

学力の向上と授業の補完

宿題は、学校の授業で学んだことを定着させるための復習の機会として必要です。例えば、小学校の低学年の場合、書き方や漢字は反復練習が必要ですし、中学年以降は暗記を求められる科目も登場します(参考01)。それらの時間を、授業中だけで賄うのは現実的ではありません。また、宿題には教育環境の格差を是正する効果もあります。塾などに通っていない児童や生徒のために、授業以外での学習の機会を保障し、支援する仕組みとして機能しています(参考02)。他には、小学校の高学年や中学生以上を対象にした、予習としての宿題もあります。具体的には、児童や生徒はあらかじめ教科書を読んだり教材動画を見たりして内容を押さえておき、授業ではそれぞれにとって理解が難しかった点などを教師に質問する機会とする「反転授業」と呼ばれる形があります。予習を宿題として課すことで、教師が教科書の内容をレクチャーする従来の一方的な授業ではなく、積極的に生徒と教師がやり取りできる相互方向の充実した授業を展開できるのです(参考03)(参考04)。

自主的に取り組む習慣が身につく

宿題には、与えられて嫌々こなすイメージがあります。けれども、宿題を入り口として、子どもの成長に伴い能動的に予習、復習を行えるようになるための、つまりは自主学習の習慣作りとしての役割があります(参考05)。とくに夏休みなど、授業がない場合の学習習慣を根付かせるために効果的な方法です。また、期限内にタスクをこなすことは、大人になってからも一層求められる能力です。学力面での向上だけが目的ではなく、自律して物事に取り組む姿勢を育む役割もあるのです(参考06)。

子どもの立ち位置の確認

宿題は学校の授業を単純に補完するだけに留まらず、児童や生徒の学習面での立ち位置を知る機会として重要です。保護者は、子どもがそれほど苦労せずに宿題を終えられているのか、逆にかなり手こずって多くの時間を費やしてしまってるのかを見ることで、授業内容に対しての子どもの理解度を推測できます。教師にとっても、提出された宿題を見れば子どもの習熟度を把握することができ、さらに自宅での学習をどの程度フォローできる家庭環境にあるのか(学校側がどこまでフォローすべきか)を判断する材料にもなります。加えて、子どもが自身の苦手と得意を知る機会としても大切です(参考05)。

参考図書

参考資料

宿題は不要

学力や成績の格差を助長

宿題によって、子どもに学習に対する苦手意識が生まれたり、勉強嫌いが定着したりする場合があります(参考01)(参考02)。本来、とくに低学年の子ども達は、「今日、学校で習ったこと(ひらがなや漢字)」を嬉しそうに書いて家族に見せることも多く、学習に対する喜びと前向きさが見られます。ところが、宿題のように期限と量と決められたタスクを与えられると、自分だけではできなかったところに囚われて停滞してしまうケースが多く、意図せず苦手意識が生まれます。やがて、楽しかったはずの学習に対する意欲が減退してしまうのです。これは授業に対する理解度や習熟度の低い子どもに限ったことではありません。手こずることなく宿題をこなせる子どもにとっても、自身のレベルに見合わない(簡単すぎる)宿題は作業でしかなく、苦役になっています。欧米でも「今日は宿題なし」は学校(教師)からのご褒美のように扱われており、宿題はまるで罰則のような存在になってしまっています。

家庭への悪影響

学年によっては、保護者が宿題している様子を見守る必要があったり、音読などでは保護者の確認(サインなど)を要求する場合があったりと、家庭の負担が大きいという事実があります。また、宿題の量や内容が子どもにあっていない場合、親も子どもも学習することよりも完了させることが目的になってしまう傾向があります。その結果、解答を教えるなどズルをしてでも終わらせることを優先するなど、親による不適切な介入の危険性が高まります(参考01)。また、宿題をきちんと終えたか確認するやり取りが、親子関係を悪化させてしまうケースも少なくありません(参考03)。何よりも、子どもの成長に不可欠な睡眠や体を動かす時間など、家庭でこそ確保するべき時間が奪われている点も深刻です(参考04)。

費用対効果の問題

ほとんど毎日、宿題を用意してチェックする教師の負担も問題です。2023年に発表された小学校教師の採用倍率は、2.3倍と過去最低で、しかも5年連続で過去最低を更新しており、教師の要員不足は深刻化しています(参考05)。宿題は、子ども、親、教師の誰にとっても負担になっており、そのうえ宿題による学力の向上の効果はほとんど認められていません(参考06)。学力向上以外の目的についても、やらされている宿題を続けることと自主性が育つこととの関連性は見出せません(参考01)。

「宿題について考える」について、あなたの意見はどちらに近いですか?

結果を見る

Loading ... Loading ...
記事タイトル宿題について考える
範囲カテゴリー | |
テーマカテゴリー
対象タグ | | |
表示数 154views