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遺伝子組換え食品について考える

遺伝子組換え食品について考える
前提となる事実
日本では、遺伝子組換え食品について表示する義務があります。

遺伝子組換え食品に賛成

農作物の安定生産がもたらす利益

遺伝子組換え食品の最大のメリットは、従来の「かけ合わせ」による品種改良よりも、効率よく品種改良を行える点です(参考01)。1990年代にハワイのパパイヤがウイルスの感染によって枯れてしまい、収穫できなくなる事例がありました。このとき、遺伝子組み換えによってウイルスへの抵抗性がある品種を開発し生産できたことで、ハワイのパパイヤ農家は救われました(参考02)(参考03)。また、異常気象による自然災害が頻発する近年において(参考04)、遺伝子組換え作物の収穫量は、それ以外の作物よりも気候変動の影響を受けにくく安定しています。その結果、農家に利益をもたらすだけでなく、流通する食品の価格の安定にもつながっているのです(参考05)。

飢饉に苦しむ地域を救う手段

遺伝子組換え技術によって開発中の「干ばつ」や「塩害」などに強い、新しい品種の生産が進めば、飢餓に苦しむ地域を救うことができます(参考06)。2021年時点での、世界の飢餓人口は8億2千万人以上とされていますが(参考07)、世界の人口に対して食糧が不足しているのではなく、飢餓に苦しむ国の多くは、酷暑地域や干ばつ地帯に集中しています。さらに主力産業もない場合には、自国民を養う食糧を輸入することもできません(参考04)。これまで農業に不向きだった地域でも生産できる作物の開発は、食糧飢饉問題を解決する糸口になります。

農薬の使用を抑えられる

遺伝子組換えによる農作物の多くは、害虫に強い品種改良がされています(参考06)。そのような作物を採用したことで、農薬の使用量を37%減らせたという報告もあります(参考08)。これまで国内外で、農薬を安全に使用するための取り組みは進んできたものの、農薬の化学物質が土壌に長期的に残留してしまい、土壌汚染や、さらには水質汚染にもつながっている実態がありました(参考09)(参考10)。そのため、農薬の使用を抑えられる遺伝子組換え作物の普及は、単に低農薬の食品を消費者に提供できるだけでなく、地球環境への負荷も軽減できるのです。

遺伝子組換え食品に反対

「遺伝子組換えでない」表示の落とし穴

食品は直接口に入れるものだからこそ、心理的な「安心」も求められます。そのため、遺伝子組換え食品であることや、それが原材料として含まれていることについての「表示」は、重要です。けれども、表示が義務化されている対象品目は限定されていることや、添加物については表示義務がない(参考01)点は気づきにくいのが現状です。また、日本では認可されていない遺伝子組み換え食品が、輸入加工品に混入されている可能性も否定できません(参考02)。

生態系への影響

遺伝子組換え作物を栽培する自然界は多様であり、影響が及ぶ範囲は計り知れません。「害虫に強い」遺伝子組換え作物は、作物自体に、特定の虫を殺せるタンパク質が含まれていますが、そのタンパク質は人体や他の生物には影響がないとされています(参考03)。たしかに、「遺伝子組換え食品」の生産と販売が認可されるまでには、多角的な検証が行われ、その安全性が細かくチェックされています(参考04)。しかし、それは直接的な影響を判断しているに過ぎません。栽培する作物の花粉が風に運ばれて、他の種と交配する可能性もあります(参考05)(参考06)。生態系の複雑さの事例としては、長期に及ぶミツバチの個体数の減少は、農薬が原因だと判明するまでに時間がかかりました(参考07)。謳われている「安全性」は、あくまで現時点での「暫定的な安全性」なのです。

開発には莫大なコストが生じる

従来からの品種改良の方法である「かけ合わせ」と比べて、必要な機能を遺伝子に組み込めばよい「遺伝子組換え」による開発は、効率がよいとされています(参考08)。ところが実際には、開発に費やす年月だけでなく、認可を得るために多くの時間を要し、1つの遺伝子組換え作物が世に出るまでには、平均で16.5年かかっています(参考09)。また、費用も莫大であるため(参考09)、開発を進めるには先進国が優位な状況です。そのため、食糧問題を抱える貧困地域(参考10)を救うには、資金が潤沢な先進国や企業が開発した遺伝子組換え作物が、無償や低価格で提供されることが条件となります。

参考資料

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