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SNSの匿名性について考える

SNSの匿名性について考える
前提となる事実
日本でのSNS利用者は2022年に8,000万人を超え、普及率は82%です

SNSの匿名性は必要

リスク回避と実名公開への抵抗感

利用者を守るために、SNSでの匿名性は重要です。個人を特定されてしまうと、投稿した内容や写真などの情報と紐づけされて、ストーカーや特殊詐欺の被害に発展するケースもあるからです(参考01)。また、総務省の調査では、インターネット上の実名公開について「抵抗感がある」と回答した人は、諸外国では3〜4割であるのに対して、日本では6割を超えていました(参考02)。事実、2022年時点での利用者数が約29億人にのぼる世界最大のSNSであるFacebookは(参考03)、実名登録を基本としているせいか、日本での利用率は25%以下です。TwitterやInstagramの利用率が50%を超えている点からも、匿名性の低いFacebookの利用率の低さは顕著です(参考04)。

発信よりも閲覧がメイン

情報収集のツールとしてSNSを用いるなら、あえて実名を出す必要はありません。2021年の消費者意識調査によれば、SNSを利用する人の8割以上が情報収集を目的としており、情報の発信や共有を目的とする人は2割未満でした(参考05)。また若年層ほど、複数のアカウントを保有している割合は高く(参考06)、高校生のおよそ5割が、閲覧用のアカウントと発信用のアカウントを使い分けています(参考07)。

匿名によって出せる本音

SNSの利用者の7割以上が、名前や顔を知らない相手に対して「言いたいことをいいやすい」ことが、第一生命経済研究所の調査で分かりました(参考08)。また、思い描いた理想の自分を演出できる魅力もあり、匿名による交流の満足度につながっています(参考08)。一方で、そのような承認欲求からも解放されたい「SNS疲れ」の若者の間では、より匿名性の高いSNSの需要が高まっています(参考09)(参考10)。自分も相手も何者か分からないからこそ、評価に縛られず、等身大のコミュニケーションが実現しているのです。

SNSの匿名性は不要

情報の信頼性を高めるため

SNSでは共感性や面白さを基準に評価したり共有されたりする傾向にあり、その真偽は軽視されがちです。そのため、信憑性に欠ける情報でも容易に拡散されてしまいます(参考01)。近年SNSをきっかけとしたトラブルが増加しており、2021年に消費者庁へ寄せられた相談件数は約5万件と過去最多でした(参考02)。被害の多くは、偽の通販サイトへの誘導などの詐欺であるため、匿名性が隠れ蓑として悪用されています。また、情報収集のためにSNSを利用する場合でも、その信頼性や安全性は保証されるべきであり、匿名性の見直しは有効な手段と言えます。

誹謗中傷の抑止策として

責任を見えづらくする匿名利用を制限すれば、誹謗中傷の抑止効果を期待できます。2021年に寄せられたインターネット上の違法・有害情報に関する相談のうち、4割は「名誉棄損」でした(参考03)。この問題は子どもたちにも波及しており、パソコンや携帯電話を使ったいじめは同年に2万件以上認知されています(参考04)。悪質な投稿が拡散され、特定のアカウントに非難が殺到する「炎上」も被害を深刻化させています(参考05)。匿名空間での「本音の言いやすさ」は、同時に思慮の浅い、無責任な発信にもつながっているのです(参考06)(参考07)。

実名で強化されるつながり

現実でのつながりを強化するために、実名アカウントを積極的に活用する動きもあります。ビジネスパーソンの間では、実名で情報発信し、仕事の獲得やキャリアアップを目指すアプローチが今や珍しくありません(参考08)(参考09)。2020年には、就職活動を控えた学生の6割が、企業への自己アピールや人脈作りを期待し、実名アカウントの利用を検討していました(参考12)。若年層ほどSNSで実名を出し、身近な友人とコミュニケーションをとっているという実態も明らかになっています(参考11)。現実と地続きの交流をSNSに求める場合は、信頼を得やすい実名が必要になるのです。

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